畑作りサポートプログラム実例【秋冬~セカンドハウス編】

家庭菜園初心者だけど、せっかく始めるなら、無農薬での野菜作りにチャレンジしてみたい! でも、本当に初心者でもそんな畑づくりはできるのかなと、心配に思っている方もいらっしゃることと思います。

実は、お野菜にとって必要な環境を整えていくことで、農薬や肥料をほとんど使わずに、しかも今までの常識からは考えられないほど手間がかからずに、体が喜ぶお野菜を作ることができます。

というのは、大切なポイントを押さえることで、お野菜たちが生命力を最大限に発揮できる環境を作ってあげることが可能になるからです。

▼種まき時

▼40日後

そこで今回は、実際に野菜の庭部を運営する弊社Natural Organizations Lab(株)にてサポートさせて頂いた実例(セカンドハウスで初めての畑を、農薬や肥料に頼らずに始められた方(Aさん)の例)とともに、自然の恵みを活かした畑を作る際の重要なポイントに的を絞ってご紹介させて頂きます。

この記事では、畑づくりから収穫に至るまでの大まかな流れ4つのフェーズに分けて、各フェーズで特に大切にして頂きたい考えを記載しております。

初めての方にもわかりやすく解説しておりますので、この記事を参考にぜひ家庭菜園を楽しんで頂けましたら幸いです(^^)

Natural Organizations Lab(株)では、企業様、個人様向けに、自然の恵みで育つ体が喜ぶ野菜をご自分で作って頂けるようになることを目指して、土作りから収穫までの「サポートプログラム」を提供させて頂いております。

自然の恵みで育つ体が喜ぶ野菜とは、農薬や肥料に頼らず、本来持っている力を最大限発揮して育つお野菜のことです。
そのための畑作りのステップは、大きく以下の4つのフェーズからなっています

【フェーズ1】現地分析から畑内容の相談まで
【フェーズ2】テストスペースから苗育成まで
【フェーズ3】天地返しから間引き収穫まで
【フェーズ4】経過観察から収穫まで

各フェーズごとに詳しくご説明していきます。


1.【フェーズ1】現地分析から畑内容の相談まで

ここでは、ご自身が畑にしたい場所の状況を分析し、畑の内容を決めていくことがメインになります。
具体的には、初回打ち合わせ、現地分析、畑内容打合せをさせて頂きます。
期間は、約2か月で、春夏:1月上旬~2月下旬、秋冬:5月上旬~6月下旬になります。

フェーズ1での特に重要なポイントは以下の3点です。
1) 自分のニーズを知る
2)場所について知る
3)自分のニーズと場所の特徴の共通点を探る

1-1 1)自分のニーズを知る

まずは、自分のニーズ(得たいもの)を知りましょう
・どうして農薬や肥料に頼らずにお野菜を育てたいと感じているのか?
・畑を作ることでどうなったら嬉しいか?
・具体的にどこに畑をつくりたいのか?
等になります。

初回打ち合わせ(オンライン)でお聞きしたAさんのニーズは以下のような内容でした。

都会の喧騒の中で仕事をしていると自分の身体との繋がりを保てない感覚があり、セカンドハウスを持ったけれども、ただ過ごすだけよりも、土をさわり、作物の循環を体感的に感じることは、身体との繋がりを感じられるとより良いのではないかと思った。

循環の中で、お野菜の生命力を大切に育ててみたい。自分が育ちに関わらせてもらったお野菜をいただくことで、食と自然の循環に関わる体験をしたかった。
月に2度程訪れるセカンドハウスのため頻繁な手入れや水やりは難しい状況もあり、なるべく手間をかけない方法での野菜作りを模索していた。

1-2 2)場所について知る

畑にしたい場所について知り、その土地と仲良くなりましょう
・畑にしたい場所はどんな気候か?(寒冷地・中間地・温暖地)
・周りではどんな作物がよく作られ、育ちがよいか?
・畑にしたい場所はどんな場所か?(今までの用途、風の強弱と向き、日当たり、水の流れ、生えている植物の種類、土の性質、硬盤層の有無と状態)

現地分析(現地)で分かったAさんの畑にされたい場所の特徴は以下のような内容でした。

冷涼な気候、湿気が多い、周りではズッキーニ等がよく育っている
十年以上耕作放棄された元田んぼ
キク科の雑草が多い
やや粘土質な土壌
30㎝程掘ったところに硬い層がある
日当たり確保可能
風は強くなく東西方向にふく
PHは6.5と理想的な状況

▼風の流れ

▼PH

1-3 3)自分のニーズと場所の特徴の共通点を探る

1)のニーズと、2)の場所の特徴を元に、畑の内容をご相談します。
・畝はどんな向きにするか
・畝は高くするか
・何を育てるか
等になります。
ここでは、現地分析で分かった風の流れ、水の流れ、日当たりを元に畝の形、方向等を決め、生えている雑草の特性、育てたいお野菜の特性お野菜同士の相互の相性等を考慮しながら進めていきます。「野菜の相互関係作り」となります。

畑内容打ち合わせ(オンライン)で、雑草に特にキク科の雑草が多くみられたため、キク科と相性のよいアブラナ科の野菜をメインに栽培していくことにしました。大根、カブ、小松菜、ルッコラ等です。また、Aさんご希望のお野菜のリストの中から、ブロッコリーも入れさせて頂きました。

▼様々な雑草の中でも、キク科の雑草が目立つ

▼Aさんのご希望のお野菜リスト

▼風の流れ、日当たり、水の流れを考慮して、畝の向きなどを決める

▼お野菜の特性や相性を考えながら畝の設計をします

次の【フェーズ2】からは、いよいよ実際にその場所でお野菜を育ててみます


2.【フェーズ2】テストスペース作りから苗育成まで

ここでは実際に種を蒔いてみるテストスペース作り(現地セッション)、苗育成確認(オンラインサポート)テストスペース苗育確認(現地セッション)にてサポートさせて頂きました。
期間は、約1か月で、春夏:3月上旬~4月中旬、秋冬:7月中旬~8月中旬になります。

フェーズ2で特に大切なのは以下の2点になります。
1)小さな成功体験を得る
2)本番への準備をする

2-1 1)小さな成功体験を得る

小さめのテストスペースを作って種を蒔き、生育状況を確認します。
目的は、実際に小さなスペースで野菜を育ててみることで土の状況や、土とお野菜との相性を確認するためです。ここでうまく育ってくれたお野菜はこの場所にあう可能性が高いという仮説が立てます。小さな成功から学び、それを次の本番に活かすためです。また、必要に応じて苗づくりも同時に始めます。

このテストスペースを作る際には、天地返しを行います。天地返しとは、上の土(地表から15㎝までの土)と、下の土(15㎝から30㎝までの土)を入れ替えることです。
大まかな手順は以下の通りです(詳しくは、「土作り」の記事をご覧ください)

▼上の土と下の土を分けておく

▼底に枯草・枯れ葉・米ぬか・油かす等を入れる

▼上の土から戻す

▼下の土を戻して形を整える

天地返しをする目的は、「土の構造作り」をするためです。
具体的には、地表に近い上の層の土と地表から離れた下の層の土を入れ替えます。
一般的に上の土には好気性微生物が、下の層には嫌気性微生物が多いです。
上下の土を入れ替えることでそれぞれの微生物が活性化し、野菜や植物に必要な要素のスムーズな循環が起こると考えています。

今回は、畑にしたい場所に、雑草がたくさん生えていたので、天地返しをスムーズに進めるために、事前に草刈りをお願いしておりました。

実際に天地返しをしてみると、地表に近い上の方の土に、石が多く混ざっており、掘り返すのに時間が必要でしたが、土自体は、自然の状態に近くなっている良い状態でした。長年の耕作放棄されたことにより、地表には枯草等が積み重なり、地中では多様な雑草の根が深くまで伸びていることが観察できました。

▼多様な雑草の根っこが地中をめぐっている

また、テストスペースでは、コンパニオンプランツとして、「野菜同士の相互関係」を活用します。お野菜の相互関係をうまく活かせているかについても同時にテストします。うまくいったものは小さな成功体験として、本番に繋げます。

テストスペースでは、大根、カブメインに、ルッコラ、小松菜、インゲン豆、枝豆、春菊、ニンジン、ネギ、ニンニクを蒔きました。
メインの大根、カブというアブラナ科野菜に虫が過剰にやってくるのを防ぐために、アブラナ科を好む虫を避けてくれるニンジン・春菊を周囲に配置
下草として雑草を抑えたり、土を守るために、ルッコラ、小松菜を配置。
空気中の窒素を土の中に固定してくれるマメ科のインゲン豆、枝豆は、葉が大きくなるため、少し離れた場所に配置。
病原菌を消毒してくれるネギ、ニンニクを配置。

また、同時に苗を育てるための苗スペースも作り、ブロッコリー、キャベツ、レタスの種を蒔きました。

▼種まきの様子

▼葉物がメインのため、虫よけに寒冷紗をかけておきます

▼実際の畝に写した設計図

 

2-2 2)本番への準備をする

約1ヵ月程度、テストスペースでの生育状況を観察します。小さな成功体験(うまくいったこと)を集め、うまくいく仮説を立て、それを広いスペースにも広げていくためです。

▼テストスペースの種まきから約40日後。小松菜等は十分収穫できる大きさに。

今回は、例えば、寒い地域で種採りされた大根が、冷涼な気候に合ってよく育ちました。
また、小松菜も気候に合っているようですくすくと成長していました。一方でルッコラは、思ったよりも育たず、次回蒔くときはより種をたくさん蒔く方がよいという仮説を得ました。

▼大根とルッコラ


3.【フェーズ3】天地返しから間引き収穫まで

フェーズ3では、フェーズ2のテストスペースでの学びを活かして、畑を広げ、野菜を育てていくことがメインになります。
具体的には、天地返し準備(オンラインサポート)、天地返し(現地セッション)、生育状況観察(オンラインサポート)、間引き収穫(現地セッション)をサポートさせて頂きました。
期間は、約2か月で、春夏:4月下旬~6月中旬、秋冬:8月下旬~10月下旬になります。

フェーズ3で特に大切なのは、以下の2点になります。
1) 小さな成功を広げる
2)お野菜の心地よい成長をサポートする

3-1 1)小さな成功を広げる

集めてきた小さな成功体験(うまくいったこと)から立てた仮説を元に、広いスペースでも畑をつくっていきます。
ここでは、テストスペースと同じく、天地返し(土の構造作り)、コンパニオンプランツ(野菜同士の相互関係)を行います。

▼天地返し

▼畝の完成

▼設計図

▼前回作っていたブロッコリー等の苗を移植し、新たに種を蒔く
テストスペースの学びを活かして、ルッコラは多めに種を蒔く

▼約20日後

3-2 2)お野菜の心地よい成長をサポートする

生育状況を確認しながら、人の最小限の介入として、お野菜の心地よい成長をサポートすることが大切です。
具体的には、間引き収穫になります。
というのは、お野菜が密集している状況で放っておくと、風通しが悪くなり、病気の発生につながってしまうからです。混み合ってきたなと感じたら、間引いてあげましょう。

また、人間が間引きをしないでいると、虫が付くことがあります。虫は、弱い株を食べることで、間引きをしようとしてくれています。しかし、近くにある健康な株にも虫がついてしまい、病気になってしまうこともあるので、できるだけ人間が間引きをすることが望ましいと考えています。

間引きに加えて、雑草が多いときは、お野菜よりも雑草の背が低くなるように、雑草を刈ってあげましょう。日光、風通しを確保するためです。

今回は、Aさんが月に2度程度、セカンドハウスに行かれた際に、適切な間引きをして下さり、お野菜たちはすくすくと育ちました。
特に、今回は、種まきした、大根、小松菜、ルッコラ、ニンジン、春菊等の間引きが必要となりました。
間引きの程度の目安としては、隣の株の葉と触れない程度に間引いて頂くのがよいと考えています。

▼小松菜・春菊がかなり混みあっているため、隣の株の葉と触れない程度に間引きます。間引いた株は間引き菜として美味しくいただけます


4.【フェーズ4】経過観察から収穫まで

フェーズ4では、フェーズ3までである程度成長してきているお野菜の状況を観察し、必要なお手入れをし、適切な時期に収穫し、次のシーズンに向けて切り替えを考えていくことがメインです。

具体的には、経過観察(オンラインサポート)、収穫(現地セッション)、畑の時期への切り替え(オンラインサポート)をさせて頂きます。
期間は約2か月で、春夏:7月上旬~8月下旬、秋冬:11月上旬~1月上旬になります。

フェーズ4で特に大切なのは、以下の3点になります。
1) 恵みを頂く
2)次の世代に必要なものを残しておく
3)次のシーズンへ学びを活かす

4-1 1)恵みを頂く

経過を観察しながら、収穫適期になったお野菜を収穫して頂きます。生命力あふれるお野菜のおいしさを堪能できます。
▼種まきから約100日後の収穫の一部

▼種まきから約100日後の収穫の一部

Aさんのご感想では、「まさに生きているお野菜を頂いている感じで、美味しい!食べると自分が自然の恵みで生かされてきたことへの感謝が湧いてきます。体も喜んでいるのを感じます。都会のスーパーマーケットのお野菜がお野菜とは思えなくなっています。また、そんなスーパーのお野菜たちの中で、元気な子を見つける眼が育ってきた感じもします。」とのことでした

▼畑での作業後に頂いたとれたて野菜は格別のおいしさ

4-2 2)次の世代に必要なものを残しておく

次の世代に必要なものとは、成長に必要な物質です。

については、スペース的に可能であれば種採りをするのが理想的です。
というのも、お野菜は育った場所の情報を記憶すると言われています。種採りを続けていくことで、年を追う毎に、その土地、場所に適応していくからです。

成長に必要な物質とは、植物の根っこや葉っぱ等の残渣(ざんさ)です。
収穫時にすべてを畑から持ち出してきれいにしたいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、山のような、植物の成長に必要な物質の循環を作るためには、その材料となる植物の残渣が必要です。収穫し終わったら、茎を地際で切って、根っこは土の中に残しておきます。

また、葉っぱや茎などもある程度細かくして土の上に置いておくとよいでしょう。
畑の次のシーズンへの準備になります。

今回は、冷涼な気候での秋冬の栽培ということがあり、種採りはしていませんが、収穫したお野菜の根っこなどの残渣や刈った雑草はできるだけ畑に残しています。このことが次のシーズンの土を豊かにしてくれます。

▼収穫後の残渣は畑に返す

▼必要に応じて、草木灰・落ち葉を補給

 

4-3 3)次のシーズンへ学びを活かす

初めてのシーズンでは多くの学びがあることと思います。お野菜や、その場所ともっと仲良くなっていくために、振り返りをし、次のシーズンに活かしましょう

今回は、以下のことがわかりました。
お野菜については、大根・小松菜が非常に良く育ち、ルッコラは控えめでした。
ブロッコリー・キャベツなどはもっと前倒しで苗作りを始めれば、年内に収穫できそうです。
冷涼な気候のこの場所では11月末を目途にすべての収穫を完了するように栽培の計画を練るとよいです。
寒くなってからのお野菜は、甘味が増して非常においしくなると感じています。

土地については、保水力が非常に高く、お野菜の生育にプラスとなっています。
一方で、寒冷紗を使用する際には蒸れ対策が必要です。背の高い支柱を使用し、十分な空間をとることで、群れを緩和できると考えています。

また、1シーズンを振り返って、Aさんから頂いたご感想は以下になります。

「畑で育てたお野菜がおいしいので、大切に使い切ろうと、外食がへった気がしています。また、この場所やお野菜と時間を共にしてより仲良くなっていく、そのプロセスが楽しいと感じています。お野菜が愛おしくなると、間引く時に、お野菜と対話しているような感覚がでてきて、あ、これは抜いたら間引きすぎ!みたいなことが体感的にわかったような感じがあって、これも楽しいです。畑仕事をしていると、ご近所の方やとおり掛かった方から話かけて頂くことがよくあります。地域の方との交流が増えたことも嬉しく思っています。」


5.まとめ

フェーズ1では、自分のニーズを知ること、場所について知ること、自分のニーズと場所の特徴の共通点を探ることが重要
フェーズ2では、小さな成功体験を得ること、本番への準備をすることが重要
フェーズ3では、小さな成功を広げること、お野菜の心地よい成長をサポートすることが重要
フェーズ4では、恵みを頂くこと、次の世代に必要なものを残しておくこと次のシーズンへ学びを活かすことが重要

以上がまとめになります。自然の恵みで育つ体が喜ぶお野菜づくりを通じて、様々な気づき、学びが得られます。皆さまの家庭菜園ライフがより素敵なものになる一助となれましたら、大変嬉しく思っております(^^)

 

実際に畑作りをしたい方はこちら

土作りから収穫までをサポートするブログラム
自然の恵みで育つ体が喜ぶ野菜を自分で作れるようになりたい方のための
土作りの基本から、手入れ、収穫まで、丁寧なサポートがついた約7ヵ月間のプログラムです。

②1Dayのワークショップ
コンパニオンプランツを活用した畑のワークショップを、各地にて随時開催しております。