春になったら無農薬で家庭菜園にチャレンジしてみたい!でも、無農薬だと虫がたくさん発生してしまうのが心配でなかなか一歩が踏み出せないとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、とても簡単な方法で、無農薬でもお野菜たちを虫たちから守ることができます。
というのは、お野菜の畝に、寒冷紗や虫よけネットをかけることで、過剰に虫がお野菜にやってくることを予防し、お野菜を健康に育てやすくなるのです。
私も実際に寒冷紗や虫よけネットを使用してお野菜を無農薬で作っていますが、虫に好まれやすい小松菜等のアブラナ科等の野菜を栽培するときなどは特に効果を感じています。
そこで今回は、家庭菜園でぜひ使って頂きたい寒冷紗について取り上げました。
寒冷紗の種類から、実際の循環畑での貼り方やそのコツまで詳しく解説しております。
初めての方にもわかりやすく解説しておりますので、この記事を参考に、寒冷紗を使ってみてくださいね(^^)
目次
1. 寒冷紗とは?
1-1 寒冷紗とは?
寒冷紗とは、目の細かい網状の布です。
畑でこのような状態で使用されているのをご覧になった方も多いかと思います。
通常、丁寧に折り畳まれた状態で袋に入っています。目の細かい編み目状のしっかりした布というイメージです。
1-2 寒冷紗の目的
主に、虫よけ、霜よけ・保温、日よけを目的に使用されています。
虫が発生しやすくなる春から秋の暖かい時期は、虫よけとして、暑くなる時期には、日よけ、寒くなる時期には、霜よけ・保温として活用されています。
1-3 寒冷紗の効果
以下では、寒冷紗を使用するメリットとデメリットについてご説明いたします。
1-3-1 寒冷紗のメリット
・農薬を使わずに虫の食害を減らせる
寒冷紗を使用した場合、農薬を使わなくても、虫食いの少ない野菜を作ることができます。というのは、寒冷紗によって、虫による食害を減らすことができます。
特にアブラナ科(キャベツ、カブ、小松菜等)は虫に好まれ、虫食いが多くなりやすい野菜です。
寒冷紗を設置することでアブラナ科を好むモンシロチョウやヨトウガ等、アブラナ科の野菜を好む虫(成虫)の侵入の大部分を抑えられます。成虫の侵入を防げれば、卵を産み付けられることがないので、虫食いがぐっと減ります。農薬を使わずに、虫を避けたい方には、とてもおすすめです。
・夏の日差しから守る
夏の強い日差しで、野菜の葉が焼けて変色したり、枯れてしまったりすることがあります。
寒冷紗をかけておくと、強い日差しをある程度遮ってくれます。
遮光を目的に使用する場合は、寒冷紗に遮光率の記載がありますので、こちらを参考に寒冷紗を選ぶとよいでしょう。
・冬の寒さや霜から守る
冬の寒さや霜によって、野菜の葉がダメージを受けることがあります。寒冷紗をかけておくことで、ある程度の保温ができます。
特に寒い地域や、日が当たらない場所では、畝が凍ってしまうこともあります。寒冷地の場合は、より保温効果の高い不織布の方がおすすめです
1-3-2 寒冷紗のデメリット
・初期と買い替えの購入コストがかかる
確かに購入のコストはかかりますが、農薬を使用せずに虫を避けられるので、その価値は十分あると感じています。
また、繰り返し使用できます。寒冷紗や虫よけネット(2章で後述します)を数年使っていますが、今のところ耐久性に問題ありません(2章で後述しますが、不織布は破れやすいので買い替え頻度が高くなります)。
寒冷紗が破れた場合は、縫い合わせることで再利用できます。
・湿気が原因で病気になることがある
もともと湿気の多い地域であったり、梅雨等長雨が続く時期であったりする場合に、寒冷紗をかけておくことで湿気により野菜が病気になってしまう場合があります。野菜に病気の兆候が見られる場合は、寒冷紗を外しましょう。
また、寒冷紗の内部に野菜が密集している場合にも、同様のことが言えます。この場合は、寒冷紗内部の野菜を適切に間引いて、風通しをよくしてあげることで解決できます。
・虫によって受粉し実ができる野菜の場合は注意が必要
トマト、なす、きゅうりなどの果菜類は、受粉によって実をつけます。
風で受粉する場合もありますが、虫は確実な受粉を助けてくれます。これらの野菜については、花が咲くころには寒冷紗は取っておきましょう。
虫の食害については、私自身、秋に種を蒔いたカブと小松菜が、寒冷紗をしなかったために、双葉のうちにほとんど食べられてしまった経験があります。
これ以降、できるだけアブラナ科の種まきの時には、寒冷紗を設置するようにしています。
この時の重要なポイントとしては、種をまいた時(まだ芽が出ていない段階)から寒冷紗を設置しておくことです。というのは、双葉が出てから寒冷紗を設置したのでは、すでに虫が入り込んでいて間に合わない場合があるからです。
お野菜が発芽した初期の段階は、人間でいうと赤ちゃんです。最初の双葉を虫に食べられてしまうと、うまく成長することができません。
また、ある程度大きくなってからでも、虫が多い時期であれば、寒冷紗を設置したままの方がよいでしょう。
以下の写真は、寒冷紗を種まき時から継続して使用して育てた白菜と、寒冷紗の使用を途中からやめた白菜です。
寒冷紗を種まき時から継続して使用している白菜の虫食いは、ほとんど目立ちません。
一方で、途中から寒冷紗の使用をやめた白菜は、レース状態に虫に食べられてしまいました。
▼種まき時から寒冷紗を継続使用
▼途中から寒冷紗の使用を中止
2.寒冷紗の種類と選び方
2-1 寒冷紗の種類
寒冷紗や、寒冷紗と同様に使用される資材には、大まかに以下の種類があります。ホームセンターや通販で購入できます。
①寒冷紗(白)
②寒冷紗(黒)
③虫よけネット
④不織布(不織布)
個人的には以下のように使い分けるのがよいと考えています。
虫よけに特化するのであれば虫よけネット、日よけには寒冷紗(黒)、保温・霜よけには不織布が最も適しています。寒冷紗(白)はすべての目的に使えるため、持っておくと便利です。
ただし、耐久性は虫除けネットが寒冷紗よりも優れていると感じています(5年ほど使っても破れにくい)ので、耐久性重視の方には虫除けネットがおすすめです。
以下では、それぞれの特徴について、写真を交えながらご説明していきます。
2-1-1 寒冷紗(白)
もともとは温度調節の目的が強かったようですが、虫よけ、日よけ、保温・霜よけ、どの目的でも使うことができます。
また、水やりをしたい場合、寒冷紗を外さなくても上から水をやることができます(水をはじいてしまう場合もあるので、ジョウロの口などをネットにくっつけてやるとよいでしょう)。
野菜の成長の様子は、外からある程度見られます。
幅広い目的で使用したいなら、寒冷紗(白)はおすすめです。
2-1-2 寒冷紗(黒)
黒い色で、夏の強い日差しから野菜を守ります。秋冬野菜の苗を作るときなどに、日よけとして使うのに重宝します。
ネット状態になっていますので、同時に虫よけとしても役割を果たします。
水やりについては、寒冷紗(白)と同様、外さずにできます。
成長の様子は外からある程度見られます。
2-1-3 虫よけネット
虫の侵入を防いでくれます。
網目の細かい虫よけネットを選べば、小さな虫も防ぐことができます(通常寒冷紗は網目が1mm程度。虫よけネットには網目0.4~0.6mmのものもあり、アブラムシ、キスジミノハムシ、ナモグリバエ等の小さい虫も防ぐことができます)。
また、銀の糸が織り込まれているものがあります。アブラムシ等が光の反射を嫌って、寄り付きにくくなるといわれています。
水やりについては、1mm目のネットの場合、外さずに上からかけることができます(水をはじいてしまう場合もあるので、ジョウロの口などをネットにくっつけてやるとよいでしょう)。
使用した感覚では、寒冷紗(白)よりも、風通しがよく、湿気等を逃がしやすいので、梅雨など雨が多くジメジメしたときはこちらの方がベターと感じています。
1mm目のネットの場合、成長の様子は外から見られます
2-1-4 不織布
プラスティック繊維などを織らずに絡み合わせた布です。
寒い時期に保温の目的で使用されることが多いです。特に寒冷地の場合は、寒い時期の保温には寒冷紗よりも不織布が適しているといえます。
同時に虫よけとしての効果も果たします。
一方で、耐久性には少し難があり、寒冷紗に比べて破れやすいと感じています。
水やりは、不織布を外してする方がよいでしょう。ジョウロ等で上から水をかけると、大半ははじいてしまうためです。使用を始めた当初は特に水をはじきやすいように感じます。
成長の様子は外から見にくいので、外して確認する方がよいでしょう
2-2 サイズの選び方
サイズについては、①幅、②長さの2点に注意して選びます。
長さと幅は寒冷紗のパッケージに記載されています。
①幅
設置する支柱の長さに合わせて選びましょう。
例えば、支柱の長さが210cmであれば、両端20㎝程を地面に埋めて使用する場合、地上の長さは170cmになります。
Uピン(寒冷紗を固定するピン。4章で後述します)で固定する幅を考えて、寒冷紗の幅は180cm程度あれば適当となります。
個人的には、180cm~210cmの支柱に、幅180cmの寒冷紗を使用しています。
※市販の少量入りの寒冷紗のサイズ展開は、長さ5mか10m、幅1.35mか1.8mで販売されていることが多いです。寒冷紗に合わせて畝を作るというのもよいでしょう。
②長さ
畑の畝の長さ+(畝の幅×2)程度の長さのものを選んでください。
畝の長さ3m、畝の幅1mであれば、3m+(1m×2)=5mとなります。
というのは、長さが足りないと寒冷紗を括るときに隙間ができてしまい、そこから虫が侵入してきてしまうからです。
寒冷紗が長すぎる場合は、ハサミで切ることもできます。
3.支柱の種類と選び方
3-1 支柱の種類
トンネル支柱とFRP(ガラス繊維で強化されたプラスティック)支柱があります。
それぞれ特徴がありますので、お好みで使い分けて頂くとよいでしょう。
3-1-1 トンネル支柱
しっかりしていて丈夫なため、安心感があります。私のところでは台風でも問題なく耐えてくれました。
一方で、金属性のため、錆びる可能性はあります。また、次にご紹介するFRP支柱に比べて、収納に場所が必要になります。
▼トンネル支柱(長さ180cm、直径8mm)
3-1-2 FRP支柱
一般的に、「樹脂ポール」や「ダンポール」という名称で販売されています。
金属でないので、錆びる心配はありません。また、写真のようにまっすぐな状態で販売されています。使用後はまっすぐの状態に戻るので収納場所をとりません。
私は直径5.5mm×210㎝のものを使用していますが、今回の設置の仕方(第4章で後述します)では、4~5cmの雪に押しつぶされてしまいました。主に、支柱の間隔を広くとっていたことが原因と思われます。
設置の際には、最初の支柱の間隔をもっと狭くしたり、より太いものを選択するなどの工夫が必要です。(ちなみに、雪が解けた後は元にもどりました。)
▼FRP支柱(長さ210cm、直径5.5mm)
3-2 トンネル支柱の選び方
支柱選びのポイントは、①高さ、②幅、③太さの3点です。
① 高さ
成長した野菜がどのくらいの高さになるかによってサイズを選びましょう。
ブロッコリーなどは背丈が60㎝の高さになるので、設置後の高さがそれに見合った高さになる支柱を選びます。小松菜等では、設置後の高さが30cmもあれば十分です。
通販で購入する際は、お店に行く場合はメジャーを持っていくと便利です。
注意点としては、支柱は、両端20㎝程度を地中に埋めるので、その分を差し引いて、実際の高さを出しましょう。この実際の高さが、育てたい野菜の高さに合う支柱を選びましょう。
② 幅
畝の幅に合わせてサイズを選びましょう。
きっちりでなくても、ある程度調整できるので大丈夫です。
畝の幅よりも広いサイズの支柱しか手に入らないときは、下のイラストのように、支柱を斜めに設置することで解決できます。
③ 太さ
支柱の太さは、トンネル支柱の場合、高さと幅によってある程度決まっているので、気にしなくてよいです。FRP支柱の場合は、お住まいの地域が雪の降る地域であれば、支柱の太さは太い方がより強いと感じます。
4. 寒冷紗の設置の仕方と注意点
では、実際に寒冷紗の設置の仕方についてご説明いたします。まずは準備物です。
4-1 準備物
・寒冷紗(虫よけネットや不織布等)
・支柱
・Uピン等寒冷紗の押さえピン(最低でも支柱の数×2+2本が必要)
▼Uピン20cm
私は、1mm目の寒冷紗(白)と1mm目の虫よけネットを愛用しており、おすすめです。
寒冷地でないため、通年、寒冷紗、虫よけネットを使用しています。(寒冷地の場合の防寒には、寒冷紗では不十分です。不織布やビニールを併用してください)
※耐久性は虫除けネットが寒冷紗よりも優れていると感じています(5年ほど使っても破れにくい)ので、耐久性重視の方には虫除けネットがおすすめです。
1mm目ではすべての虫は防げないのですが、私が1mm目のものを選択しているのは、以下の2点のためです。
① 風通しをなるべく確保したいため
…湿気がこもって野菜が病気にかかることを減らしたいと考えています
② アブラナ科野菜を食害する虫の天敵となる虫が1㎜の目を通過できるので活用できるため
…1mm目を通過した虫を食べてくれる天敵が入れることで、食害を少なくすることができると考えています
【寒冷紗・虫よけネットなどはこちらからも購入できます】
・寒冷紗(白)1.8m×5m 税込1,780円
・虫よけネット(防虫ネット)1.8m×5m 税込1,080円
・寒冷紗(黒)1.8m×5m 税込2,080円
・不織布1.8m×5m 税込598円
・支柱 トンネル支柱 3型 口径11mm×高さ80cmx幅90cm×長さ210cm 税込175円/1本
・Uピン等寒冷紗の押さえピン(プラ板・シート押さえ10セット)税込448円
アブラムシをどうしても防ぎたい場合は0.4㎜目以下の虫よけネットが好ましいです。
ただし、アブラムシの天敵は0.4mm目を通過できないため、何かの拍子にアブラムシが侵入した場合に天敵による抑制はできなくなってしまいます。
4-2 基本的な設置の仕方
寒冷紗の設置は一人でも問題なくできますが、二人で設置するとより早く簡単にできます。
以下を参考に、ぜひ設置してみてください(^^)
① 寒冷紗の支柱を等間隔に立てます。間隔は50cm~1.5m程度が目安です。強い風や雪等が心配な場合は、間隔を狭くして設置しましょう。写真では、広めの1.5m間隔で3本の支柱を設置しています
②寒冷紗を被せます。一旦広げて畝の片方に置きます。端を持って支柱の上に乗せていくと簡単です。
③トンネル出入り口方法の寒冷紗の端を写真のように集めて、ねじります。ねじったところをUピンで留めます。
④ 反対側も同じようにします。このとき、寒冷紗にたるみが出ないようにピンと張るようにしてください
※寒冷紗の端っこは写真のようにねじって中に入れ込んでしまえば邪魔になりません
⑤支柱と支柱の間に、上から支柱を設置します。こうすることで、風に飛ばされにくくなります
⑥支柱の上からUピンを地面に刺して固定します。支柱と支柱の間の寒冷紗もUピンを刺すとすそが固定されてベターです。※Uピンの黒丸は目印になるので初めての方には、後でUピンの位置がわかりやすく便利です。黒丸なしで使っても問題はありません
⑦完成です
※上写真は赤印の2か所にUピンを刺していませんが、本来は固定してください(^^)
5.まとめ
以下、家庭菜園における寒冷紗についてのまとめです。
・寒冷紗とは、目の細かい網状の布
・寒冷紗は、虫よけ、日よけ、保温・霜よけの目的で使用される
・虫よけとして使用するには、種まき時からの設置が望ましい
・虫よけには虫よけネット(防虫ネット)、日よけには寒冷紗(黒)、保温・霜よけには不織布が特に力を発揮する
・寒冷紗(白)はオールマイティに使える
・寒冷紗のサイズは幅と長さがある。幅は支柱の長さ、長さは畝の長さと幅を勘案して選ぶとよい
・支柱は高さと幅と太さがある。高さは野菜の高さ、幅は畝の幅を勘案して選ぶとよい
・寒冷紗等の設置は1人よりも2人の方が早く簡単にできる
以上になります。みなさまの家庭菜園がより楽しいものになりますことを心よりお祈りしております(^^)
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